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母性健康管理に対する企業の義務
《安心できる環境整備を》
出産というのは家族にとっての一大イベントであるのはもちろんですが、母体にとっても肉体的、精神的に大きな変化が起き、特に出産後は女性のライフサイクルにおいて最も精神疾患が発症しやすい時期ともいわれることもあり、妊娠中又は出産後の女性労働者の母性を守るため、企業も適切な対応をとらなくてはなりません。(母性健康管理)
妊娠した際には、母体や子どもの健康確保のために定期的に健康診査等を受ける必要がありますが、これらに対応する措置は、就業規則等に記載されていなくても事業主に義務付けられており、母性健康管理指導事項連絡カード等により主治医からの指示があった場合にも、速やかに適切な措置を講じましょう。
◆産前産後休業とは
出産予定・出産後の女性従業員であれば誰でも請求できるもので、取得できる期間は、
〇産前休業…出産予定日からさかのぼって6週間(42日)
〇産後休業…出産日から8週間(56日)
となっており、産前休業は請求することで取得(任意)できますが、産後休業は請求の有無に関係なく休業(義務)となります。
休職中の給与については原則として支払う必要はなく、産休中は健康保険より出産手当金を、育休中は雇用保険から育児休業給付金が支払われることで生活の補償となり、出産から7週間目(43日目)からは本人が希望し医師の許可があれば就労可能となります。
また、産前・産後休業中の期間及びその後30日間の解雇や、妊娠や出産、育休などを理由とする解雇や減給、降格などの不利益な取り扱いは禁止されており、配転や処分等が生じる際の取り扱いには注意が必要です。
安心して出産、子育て、就業できるよう、従業員には妊娠がわかったら出産予定日や休業の予定を早めに会社へ申し出てもらうようにし、引き継ぎなどに備えましょう。
◆出産10万円クーポン配布
政府は、総合経済対策のひとつとして、23年1月1日以降に生まれた子ども一人当たり10万円分のクーポンを配布する方針です。
22年4月から12月末までに生まれた子についても5万円分の支給を予定しています。
従業員の健康を確保しよう
《勤務間インターバル制度》
10月に公表された「自殺総合対策大綱」で、自殺総合対策における当面の重点施策の中に「勤務問題による自殺対策をさらに推進する」という項目が掲げられています。内容は大きく3つに分かれており、
①長時間労働の是正
②職場におけるメンタルヘルス対策
③ハラスメント防止策
となっていますが、長時間労働を是正するための策として、「勤務間インターバル制度の導入促進」が初めて盛り込まれました。
勤務間インターバル制度は、企業の努力義務として19年4月より施行されており、前日の就業時間から翌日の始業時間までの休息時間(勤務間インターバル)を一定時間確保するというものです。
EUでは11時間の勤務間インターバルを定めるなど休息に関する取り組みが進んでいますが、日本でも制度化されて以降関心が高まっており、24年より自動車運転者の勤務間インターバルを9時間とすることが義務付けられるなど、少しずつ前進しています。
また、勤務間インターバルに関する取り組みは過労死大綱の中にも組み込まれており、企業に対し周知や導入する割合に数値目標を掲げて取り組んでいるところです。
日々働くにあたり生活時間や睡眠時間など一定の休息時間を必ず取れるようにするというこの取り組みは、従業員の疲労の蓄積を抑え健康を確保する措置として非常に有効であり、今後、制度としてより踏み込んだ内容となることも予測されています。
◆雇調金特例、廃止へ
コロナ下で設けられていた雇用調整助成金の特例について、これまで何度も見直されてきましたが、23年1月末をもって廃止されることとなりました。
雇用調整助成金は、業績が悪化した企業が従業員を解雇や雇い止めするのを防ぐのが狙いであり、特例により上限額を上乗せしてきましたが、コロナと共生する道筋が見えてきた今は労働移動等を後押しするためにも、メインとなる支援の方法を変えていく方針です。
3月まで要件緩和の一部は継続されますが、4月以降は情勢を踏まえて再検討となります。