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✔労使協定と計画的付与

《英会話教室雇い止め事件ー東京高裁》

 これは、英会話教室の講師を務めていたAが有給休暇を取得したところ無許可での欠勤と評価され違法な雇止めをされたとして、雇用継続などを求め地裁に訴えたものの棄却された訴訟の控訴審です。

 Aは、都内に本社を置く英会話教室B社で、常勤講師として有期雇用契約(1年毎に契約更新中)で採用されていました。

 平成28年(2016年)11月に育児休業等に先立ち年次有給休暇を取得したところB社就業規則に「5日を超える有給休暇(15日間)については、取得する時季を指定して一斉に取得する計画年休とする」としていたため有給と認めず、欠勤扱いにしました。

 Aは、この件について、労働委員会に申し立てますが、その審議途中の2017年2月に、勤務態度不良を理由に雇止めされたため、B社に対して雇用継続と未払い賃金の支払いを求める訴訟へと踏み切ります。

 本件の争点はAが取得した有給休暇が欠勤か否かという点でした。

 年次有給休暇は一定の要件を満たした労働者に付与されるもので、事業の正常な運営を妨げる場合以外は労働者が請求する時季に与えなければなりません

 また、年休が10日以上ある労働者に対しては、労働協定を締結することで法定の年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分については使用者が指定する日に有給を付与することができます(計画的付与)

 B社の年次有給休暇は勤続6ヵ月に達した講師に一律20日間与えられ、15日間は会社側が取得時季を指定して取得させる計画的付与のような制度をとっており、就業規則にも明記していましたが、計画的付与の採用要件である労使協定は締結されていませんでした

 そのため、法定の有給休暇を超えた部分について使用者が法定の有給の部分と法定を超えた部分を区別しないで計画年休として指定しているため「法定を超えた有給に関する指定である」と特定することができないためこの指定は無効であり20日間全て有休が自由に請求できると判断

無断欠勤の事実もなかったとして、当該雇止めは無効であり現職復帰と未払い賃金の支払いを命じました。