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長期にわたる出勤停止と退職勧奨
《きっかけは社内通報》
これは、長期間にわたる出勤停止と解雇の無効について争われている事件です。
Xは金融業大手であるY社で、04年から営業職として勤務していました。14年9月、上司が顧客から見える位置で足を組み新聞を広げるなどしており、顧客からの苦情もあったため、Xは規定に則り社内通報しました。が、Y社はXに対し周囲に不和を生む行為としてXの態度を問題視、別部署へ異動させ退職勧奨をしました。
その後、Xは16年4月から自宅待機を命じられ、期間は21年5月まで続きました。自宅待機中のXの業務は、1日に2回電話かメールで形式的な報告をすることのみで、出社を求められた際は、人事本部の個室で退職ついての話をされていました。18年にXは、うつ病を発症しましたが、Y社はXに出社を命じても応じない等があったため、21年5月にXを懲戒解雇しました。それに対しXは、解雇は不当だとし地位の確認と賃金等の支払いを求め提訴しました。
裁判では、Y社は、自宅待機命令は違法と評価されるものではない、と主張しました。しかし、この長期間の自宅待機命令は、実質的に見て、Xに対し退職以外の選択肢を与えない状態を続けたものといえると認定。そして、この長期間にわたる自宅待機命令は通常想定し難い異常な事態であり、社会通念上許容される限界を超えた、違法な退職勧奨であったと言わざるを得ないとしました。自宅待機期間については、(出社等を求める)業務命令に応じていない、というY社の主張を取り入れ、16年4月から20年10月頃までの「約4年半」を実質的な退職勧奨の継続としました。
一方、懲戒解雇については、自宅待機期間中にY社による就労継続の意思確認にXが応じなかったことなどが認められ、有効であると判断されました。
よって、不法行為が成立するとした長期間の自宅待機命令については、Y社に賠償金330万円の支払いを命じましたが、その他の請求は棄却となりました。1審判決を受け、XとY社はそれぞれ控訴しましたが、いずれも棄却されています。