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■適用範囲の拡大検討へ■

《セーフティネット強化し少子化対策も》

 政府は、28年度までにパートやアルバイトなど、週の所定労働時間が20時間未満の労働者について、雇用保険の適用を拡大する方針を示しています。現在は、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用見込みがある場合が、加入の対象となっていますが、非正規の立場で働く人にも失業給付や育児休業給付を受け取ることができる環境を整え、少子化対策とともに進めたい考えです。

 仮に、週の所定労働時間を15時間以上とした場合、新たに対象となる労働者は約300万人、10時間以上とした場合では約500万人増えることが見込まれています。25年度中までには制度の概要を固め、企業には3年程度の猶予を以って適用体制を整えられるよう、まずは雇用保険法の改正に着手、周知と準備を進めるとしています。

 一方、雇用保険の適用拡大により、人件費の増加など企業の負担は増え、雇用調整も視野に業務の見直しも迫られることとなり、使用者側からの反発は避けられない状況です。従業員数の少ない企業ほど短時間労働者の割合も高く、保険料の負担増による好ましくない影響も懸念されるところとなっています。

 しかし、30年代に入ると日本の若年人口は現在の倍の速さで急速減少するとの試算からも、子育てしやすい環境整備のためにも負担増は避けられないとみられています。

《学び直しが条件に》

 失業給付や休業手当の仕組みが見直され、政府の指針がまとめられています。失業給付については、これまで自己都合による離職である場合、受給資格決定日から2カ月間の給付制限期間後に受けられるとしていましたが、失業給付の申請前1年以内にリスキリングに取り組んでいた場合、会社都合の離職と同様に、7日間の待機期間満了後から受けられるようになります。

また、雇用調整助成金についても、雇用調整が30日を超える場合は教育訓練を原則実施するなど見直しがされており、今後の日本経済の成長のためにも、「労働者が自分の意思で学び直し、職務を選択できる制度」へ移行していきたいとしています。