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少額投資非課税制度 NISA拡充へ

◆自助への後押し進む

 昨年末に23年度の与党税制改正大綱が策定され、少額投資非課税制度(NISA)について、24年以降は口座開設期間を恒久化するなど時限的であった制度が拡充されることとなりました。

 国はNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)などの制度により、人生100年時代といわれる中で自助努力に基づく資産形成の支援、促進を図るための取り組みを進めています。NISAでは、通常、株や投資信託などの金融商品に投資した場合、これらを売却して得た利益や配当金に対して約20%の税金がかかるところ、NISA口座内で毎年一定金額の範囲内で購入した、これらの金融商品から得られる利益が非課税となります。

 一方のiDeCoは私的年金制度であり、受け取り年齢に達するまで払い出しに制限がかかりますが、掛け金が全額所得控除、運用益も非課税で再投資、受け取る時も控除があり、制度の内容は異なりますが、どちらも投資運用により資産を増やすというものです。

 NISAの現行制度は、20歳以上を対象とした14年から始まった一般型(年間非課税枠120万年)と18年から始まった、つみたて型(同40万円)、20歳未満を対象としたジュニアNISA(同80万円)からなっていますが、24年以降は、ジュニアNISAは終了し、他の2つも「つみたて投資枠」(年間投資枠120万円)、「成長投資枠」(同240万円)となり対象年齢は18歳以上となります。 ※現行制度も23年1月以降は18歳以上利用可能となっています。

 また、一般型で5年間、つみたて型では20年間となっていた非課税保有期間は新制度では無期限化、口座開設期間も恒久化され、これら新制度は現行制度とは別枠で管理されるため、23年末までに投資した商品は現行制度における非課税措置を適用するとしていますが、現行制度から新制度への移管(ロールオーバー)は不可としています。

 福利厚生の一環として、つみたてNISA制度などを活用している企業も増えつつありますが、新旧両制度が並行すること等も予測されるため社内での取り扱いをどのようにしていくのか早めに整理しておく必要があります。

23年度の年金支給額、引き上げへ

◆マクロスライド発動

 22年の平均全国消費者物価指数(総務省)が公表されたことを受け、厚労省より23年度の年金額改定が公表されました。

 年金支給額は賃金や物価の変動に応じて調整されますが、名目手取り賃金変動率が物価変動率を上回る場合、67歳以下である新規裁定者の年金額は名目手取り賃金変動率を、68歳以上である既裁定者の年金額は物価変動率を用いて改定すると定められています。

 このため、23年度の年金額は、新規裁定者(67歳以下の方)は名目手取り賃金変動率2.8%を、既裁定者(68歳以上の方)は物価変動率2.5%を用います。

 また23年度のマクロ経済スライドによる調整(▲0.3%)と、前年度までのマクロ経済スライド未調整分(▲0.3%)による調整も加わるため、23年度の年金額は、新規裁定者は前年度より2.2%引き上げ、既裁定者は前年度より1.9%引き上げることになります。

 改定により年金は2.2%(既裁定者は1.9%)増額されることになりましたが、物価の上昇率は2.5%であり物価の上昇に追いついておらず、高齢者の負担感が強まってしまうことが景気の足かせとなることが心配されています。

 マクロ経済スライドは、将来の現役世代の負担が過重なものにならないように導入されたものですが、今後も賃金、物価は上昇していくと考えられる中で、いかにして給付の水準を保ちながら制度を維持していくのか、その舵取りは非常に難しいものとなっています。

         令和5年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例

  
  令和4年度(月額)
  令和5年度(月額)
    
     国民年金※1
 (老齢基礎年金満額:1人分)
    64,816円    66,250円
   (+1,434円)
   
     厚生年金※2
 (夫婦2人分の老齢基礎年金を
  含む標準的な年金額)
    219,593円    224,482円
   (+4,889円)

※1 令和5年度の既裁定者(68歳以上の方)の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額66,050円(対前年度比+1,234円)です。

※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与を含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。