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年金法改正に向けて
【在職老齢年金、減額対象者縮小へ】
25年は年金制度改正が行われる年です。
昨年の財政検証結果をもとにまとめられた法案が、通常国会で審議されることとなっていますが、この改正案には「在職老齢年金」の制度の見直しが盛り込まれています。
在職老齢年金制度とは、厚生年金の適用事業所で就労し、一定以上の賃金を得ている60歳以上の厚生年金受給者を対象に、原則として被保険者として保険料負担を求めるとともに、年金受給を停止するというものです。
老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、「月給と賞与の額(総報酬月額相当額)」と「老齢厚生年金の月額」の合計額が基準額を超えた場合に、老齢厚生年金の支給額が減額されます。70歳以降は、厚生年金の被保険者とはならないため保険料の負担はありませんが、厚生年金の加入条件と同程度で就労する場合は、70歳以降であっても支給停止の対象となります。
24年度の支給停止基準額は50万円で、老齢厚生年金(年額)を12で割った「基本月額」と「総報酬月額相当額」が「月50万円」を超えた場合、超過した分の半額の厚生年金が支給されないこととなっています。この制度が、高齢者の就労意欲を阻害し働き控えを招いているとの指摘もあり、財政検証後の部会において、支給停止基準額を月62万円、または71万円に引き上げる案、さらに廃止を検討する案が出されました。
仮に、月62万円に引き上げた場合は満額受給となる高齢者は約20万人増、月71万円に引き上げた場合では、約27万人増となることが見込まれており、制度が廃止されれば約50万人が満額支給となるとしています。
22年度末時点で働きながら年金を受給する65歳以上は約308万人おり、そのうちの約50万人が減額の対象となっていましたが、支給停止基準額を引き上げることで、就業を抑制するのではなく、手取り収入も増やしつつ働き手の確保にも繋げたいとしています。
また、基礎年金ついても、厚生年金の財源を基礎年金に回すことにより、給付水準を3割ほど底上げするという法案も出されており、審議の行方が注目されています。