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事例ごとの判断が重要に

【みなし制不適用で、二審差し戻し】

24年4月、未払い残業代等の支払いを求めていた訴訟の上告審について、みなし労働時間に当たらないとした原審の判断に違法があるとされ、高裁に審理差し戻しとなった事件がありました。

Xは、16年9月より、外国人技能実習生の指導員として監理団体Yに雇用され、訪問指導や来日時等の送迎、日常の生活指導や急なトラブルの際の通訳を行うなどの業務に従事していました。

Xの就業時間は、午前9時から午後6時で休憩時間は正午から午後1時までと定められていましたが、タイムカードを用いた労働時間の管理は受けておらず、就業日毎の始業時刻や訪問先等を記入した業務日報を提出し確認を受けていました。

原審では、Xの業務の性質や内容等からみて、YがXの労働時間を把握することは容易でなかったものの、業務日報を通じ業務の遂行状況等の報告を受けており、記載内容についても、必要であれば実習実施者等に確認することもできたため、ある程度の正確性は担保されていたと判断されました。そして、実際に業務日報に基づきXの時間外労働の時間を算定して残業代を支払う場合もあり、「労働時間を算定し難いとき」に当たるとは言えないとしました。

しかし、最高裁では、業務日報について、実習生に確認する等の方法の実効性などは明らかではないことや、Yが業務日報記載のみによらず、Xの労働時間を把握した場合に限り残業代を支払ったと主張していることを指摘。

 この主張の当否は検討しなければならないもので、残業手当が支払われていた事実のみをもって業務日報の正確性が客観的に担保されていたなどと評価することはできず「労働時間を算定し難いとはいえない」とした二審の判断は解釈適用を誤ったというべきだとして、二審判決を破棄し審理を差し戻しました。

本件では、裁判官の補足意見として、事業場外労働の在り方も多様化が進んでいることから、定型的に判断することは難しさが指摘されており、個々の事例ごとの具体的な事情に的確に着目した上で、該当するか否かを判断していく必要があるとしています。

■「自爆営業」もパワハラに該当(厚生労働省)

「自爆営業」とは、会社がノルマを達成させるため社員に自社製品を購入させたり、自腹で契約を結ばせる行為のことを言います。この行為についてパワハラに該当するとし、指針に明記する方針に。